それでも君が好きだった
綺麗なオンナノコ
あたしが悠斗と初めて話した日からは二年が、
悠斗の゛好き”を知ってからは半年が流れた。
不変なモノは相変わらず、
変わりゆくものだって確かに存在していた。
「和たち、やっぱり付き合うことになったんだ…」
いつものように玄関で話しをするあたしたち。
今日の話題は最近新しい彼女ができた兄ちゃんのこと。
あたしの兄、清水和寿(シミズカズトシ)はなんだかんだ言っても昔からよくモテる。
理由は知らないし、知りたくもない。
「悠斗、相手の女知ってんの?」
「うん、この前の合コンにいて和のこと気にしてたみたいだから。」
悠斗はまたガラスみたいに笑う。
「合コンなんか、悠斗でも行くんだ」
嫉妬でも嫌悪なんかでもなくて、ただ率直に意外だった。
「ただの人数合わせ」
「ふーん」
「とりあえず僕は帰るね」
玄関の隅に置かれたラメ入りレッドのピンヒールを見ながら悠斗は言った。
待ちなよ!
なんて、悠斗を傷つけるだけの考えなしの言葉なんか吐かない。
ここに居てもツライだけ。