あなたのそばにいたいから
翌朝、今日は仕事は休みだし、一日、
トモのために過ごそうと思っていた。
私がいるってことを実感させたくて、朝ごはんを作ろうと思った。
もちろん和食。
リビングにいるトモを起こさないようにそっと仕度を始めた。
音を立てないように頑張ったけど、トモは気づいたようだった。

「あっ、トモ起こしちゃった?」

声をかけると、なんだかまだ眠そうな顔をしていたトモが

「いいにおいだなって思って、目覚めた。」

そういいながら、目をこすっていた。

「あのね、日本食恋しくなるかなって思って、
味噌と粉末の和風だしと袋入りのインスタントラーメン、
それに乾燥わかめをスーツケースに入れてきたんだ。
とりあえず、日本の朝って言ったら味噌汁かなって思って、
わかめの味噌汁作ってる。」

「いや、うれしいよ。」

「私もね、うれしいもの発見したよ。」

「何?」

「トモ、私が前に教えておいたこと実践していたんだね。
冷凍庫のごはん、使わせてもらった。」

「あぁ、いいよ。」

私が前に教えておいたっていうのは、
炊き立てのごはんを1食分ずつラップに包んで冷凍しておく
というやつだ。まだ、働き始めて1年目くらいのころ、
一人暮らしの節約方法をトモに話しておいたことがあった。
それを実践してくれていたのだ。カレーもたくさんつくって、
自分で1食パックを作っておくといいと言っておいたけど
まさかそれも実践しているとは思わなかった。
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