あなたのそばにいたいから
それから私はトモのお義父さんに言われたことを告げた。

「お義父さんがね、
『ユウちゃんが、友行のことを考えて、
びっくりさせようと思っているのはわかるし、
その考えを聞いて、うれしいけど、ただ、友行にしてみたら、
自分が知らないうちに婚姻届が出されているって
あまり気持ちのいいものじゃないよ。
ビザのこととかいろいろあるからユウちゃんの事情はよくわかっている。
だから、これから一緒に区役所に行って、それを写真に撮らせてもらうよ。
君がアメリカに行ったら、
今日、これから撮る写真をあいつに見せてやってほしい。
そして私たちに話したことも、すべてあいつに話してやってほしい。』
そうおっしゃったの。これ、見て。これがその時の写真。」

そう言って、私はスマホに残した写真を見せた。

写真を見ていたトモは

「これじゃあ、怒れなくなるな。
ユウが俺のことも考えてくれたんだし、
俺の両親とも仲良くやってくれているのがわかるし。
でも、俺たちこれから夫婦として長いつきあいになるんだから、
隠し事はよそうな。」

と言った。

「うん。」

「正直、俺もユウと離れて暮らすことが
こんなにつらいと思わなかった。
元カノの時には、仕事が忙しくて1か月会えないことくらいあるさ
って気分だったんだけど、研究に打ち込んでいても、
ふとしたときに、ユウのことが浮かんできて、
こんなとき、こういうふうに励ましてくれたよな、
なんて昔を懐かしんでみたりして。
俺ってこんなに弱かったっけって、思ったことがあった。」

そう言って、彼は私を抱きしめ、キスをした。
角度を変えて何度も、次第に深くなる。

朝ごはんが終わったばかりだというのに、トモが

「俺、我慢できない。抱いてもいい?」

私も彼を感じたかった。
ずっと離れていたんだもん。私はうなずいて受け入れた。

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