チャット恋愛注意報!!(新)


……まずは、エアコンのスイッチを入れて部屋を冷やす。

それから机の上に出しっぱなしだった夏休みの課題を、全部引き出しの中へと片付ける。

それから、本が乱雑に入った本棚も“なんとなく”綺麗に整える。

あとは……うん、ベッドのシーツをシワなく伸ばせば大丈夫。


……あぁヤバい。 ベッドとか、すっごくヤバいっ。

私の部屋でユージと二人きり……ベッドになだれ込んで……なんってことになったらどうしようっ……。



「チャ、チャットするだけ、チャットするだけ……」



呪文のようにブツブツ言いながらも、私の顔は多分、赤くなっている。

うぅ……緊張するよー……。



「……ハァ……深呼吸、深呼吸……」

「サクラ、ちょっといい?」

「ふぁいっ……!?」



コンコン、とドアが叩かれるのと同時に、ユージの声が聞こえた。

うぅ、私の声、めっちゃ裏返った……。



「えっと……入ってもいい?」

「う、うんっ……今 開けるねっ……」



ドキ、ドキ、ドキ。

鼓動がどんどんと速くなっていくのを感じながら、ドアを開く。



「ごめんね、急かしちゃった?」

「あ、ううんっ。 ちょうど片付け終わったところだったからっ……」

「そっか、よかった。 ……実は今、『高校生ルーム8』を覗いたらフジヤマの名前があったんだ」


「……えっ!?」

「名前があった。 という過去形からわかるように、もう退室したあとなんだけどね」



うそ……フジヤマが、『高校生ルーム8』に来てたの……?


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