チャット恋愛注意報!!(新)
「……なんかごめん。 俺がサクラと一緒に居ると、いつもタイミングが悪くなっちゃうね。 前は電話してる時だったし、今回は会ってる時だし……」
「そんなっ……ユージは悪くないよっ。 だって連絡の取りようがない状態なんだから、仕方ないもんっ」
「でも、俺が来てなかったら いつも通りチャットを覗いてたんだろうなーって思うと、やっぱりヘコむよ」
「……だけど、ユージが来てくれなかったら、私は『好き』に気づいてなかったよ」
今日ユージと会ってなかったら、一生友達としての『好き』だったかもしれない。
……だから、ユージが来てくれてよかったって思ってる。
今日会えてよかった、って心から思ってるよ?
「……ヘコむ必要なんて全然ないからねっ。 私たちが『高校生ルーム8』で待ってたら、きっとフジヤマはまた来てくれるからっ」
そう言いながら、パソコンを起動させる。
「大丈夫だよ。 絶対、会えるから」
今日来てたのなら、きっとまた会える。
私たちがチャットしていれば、きっと……。
「……あれっ? これって……」
「あ……うん。 実はこれ見てさ、サクラに意見を聞こうと思ったんだ」
パソコンで『高校生ルーム8』を開いた時、そこには確かにフジヤマの名前があった。
そして、そのフジヤマが残したログはたった1つだけ。
「これ……メアド、だよね……?」
「うん、しかも本アドっぽい」
「え、だってここ……『高校生ルーム8』って、みんなに公開されてる場所だから……」
「これが本当にフジヤマのメアドだったら、今頃 迷惑メールがいっぱい届いてるかもしれない」
ずらずらっと並んだアルファベットと、使ってるだろうキャリアのドメイン。
誰でも閲覧出来る場所に、それが公開されている。