チャット恋愛注意報!!(新)


「あ……こう考えると私、家族以外の人と誕生日を過ごすのって初めてかもしれない」

『俺も同じ。 これはもう、夏休み生まれの宿命じゃない?』

「お誕生日会を開くくらい積極的だったら、また違ったんだろうけどねぇ……」


『人生の半分以上 人見知りやってるから、普通に無理だけどね』

「あはは、確かにー」



そう言いながら、二人で笑い合う。


……やっぱりユージの声は、聞いてて心地いい。

色々な話をして一緒に笑い合うことが出来る。 そういう人がそばに居るって、こんなにも幸せなんだ。

まぁ……住んでる場所はかなり遠いけどね。


でも、電話だと凄く近くに感じることが出来る。

耳元で声が聞こえるからかな?

目を閉じると、すぐ隣にユージを感じることが出来る。


……私、本当に本当に幸せだ。



「……明日、楽しみだねっ」

『うん、結局 会ったあとの予定は全然立ててないけどね』

「いーのいーの、会ってから決めるからっ」


『だね。 よし、じゃあ……明日に備えて早めに寝るから、そろそろ切るよ。 眠れるかどうかは別だけど』

「ふふっ…そうだね」



穏やかなユージの声を耳元で聞きながら、私も微笑む。

そのあと、小さく息を吐いてから声をかけた。



「じゃあ、また明日ね」

『うん、また明日。 おやすみ』

「おやすみなさい」



名残惜しさを感じながらも、静かに電話を切った。


……長い長い夜が終われば、朝になる。

朝になれば、ユージとまた会えるんだ。


だから、大丈夫。

今は寂しいけど、大丈夫。



「……おやすみ、ユージ」



電話を切ったあとだったけれど、私はそう小さく言葉を放った。

その顔には、微笑みを浮かべながら。


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