チャット恋愛注意報!!(新)


……で、フジヤマが来た途端に、ロビーがザワザワとし始めた。

そりゃあね、ド派手なシャツに麦わら帽子、サングラスのオッサンが来たら、思わず見ちゃうよね。

しかも、どこから出したのか黒のアタッシュケースも持ってるし。

……どっからどう見ても、変なオッサンだ。


うん、他人のフリしよう。

……なんて思いながら、YUKIに案内されるがままエレベーターへと乗り込んだ。



千歳さんが居るのは、5階の西病棟らしい。

YUKIは慣れた様子で廊下を進んでいき、ナースステーションで少しだけ話をしたあと、フジヤマへと視線を向けた。



「ちい姉は1番端の病室。 さっきも言ったけど、あんまりアホなことは言わないでね?」

「だからお前は、なんで俺を見て言うんだ。 ……ちゃんとするから、心配ねぇよ」

「うん」



短くやり取りを交わしたあと、YUKIはまた慣れた様子で歩き始めた。

私とユージがそれに続き、フジヤマは最後尾。

チラリとフジヤマの方を見たけれど、サングラスをかけているから表情はよくわからなかった。



「ちい姉、入るよ?」



コンコン、とドアを叩き、YUKIが声をかけるけど……返事はない。

だけどYUKIはそのままドアを開けて、中へと入っていった。

だから私たちも、個室の中へ……。


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