チャット恋愛注意報!!(新)
「仕事辞めて、『高校生ルーム8』も辞めて、そのうちチャット自体も辞めて……って考えてた。 基本ヒッキーだったから ほどほどに貯金あったし、どっか旅にでも出るかなーなんて思ったり。 そのあとのことは何も考えてなかったけど、とにかく今までとは違うことをしたかった」
「……そうだったんだ……」
「と言いつつ、いまだに『高校生ルーム8』に居るけどな。 だって俺がチャットを辞めるって言う前に、サクラが『YUKIは6年前を知ってる』なんて言うんだもん」
私へと視線を戻したフジヤマは、いつものように けらけらと笑い始めた。
凄く楽しそうに、嬉しそうに。
「そんなん聞いたら待つっしょ。 1回でいいからアイツと昔話で盛り上がりたい、って思うのは当然だろ? 戻ってくる保証なんかねぇし、また会える可能性は低いってわかってるくせにな」
……そっか。
あの時、私がYUKIのことを話したから……。
だからフジヤマはチャットを辞めないで『高校生ルーム8』に残ったんだ……。
そして昨日、YUKIは戻ってきた。
リアルのユキさん…千歳さんという大きな存在をお土産に。
「実際すげータイミングだと思うよ。 どれか1個でも無かったら、俺たちはとっくにバラバラだったと思うから」
「……うんっ」
……本当にそうだね。
1個ずつ、小さな出来事が積み重なって……そして“今”がある。
どれか1つでも欠けていたら、違った“今”になっていたと思う。
凄いね……当たり前のように“今”があるけど、でも、当たり前なんかじゃなくて、とっても凄いことなんだ……。