チャット恋愛注意報!!(新)


「俺、フジヤマにメールしてみるね」

「あっ……じゃあ私、YUKIに……」

「うん、お願い」



視線を合わせないまま、コクンと頷く。

ユージの方は見ず、私は携帯の画面だけを見つめていた。



【ユージと会ったよっ。 YUKIはどの辺まで来た?】



……こんな感じのメールでいいかな。

うん、送信…っと。



「サクラ、どっかベンチ座って待ってようか」

「え、あっ……はいっ」



ユージの声を受け、顔を上げる。

そして、促されるがまま近くのベンチへと移動した。


ユージと並んで座り、行き交う人をぼんやりと眺める。



「サクラ、あのさ……」

「は、はいっ……!!」

「……それ、無しにしない?」


「……へっ?」

「敬語。 さっきからずーっと他人行儀な感じなんだもん。 チャットと同じでいいよ? ね?」

「あ……うん……」



……ユージは私よりも1つ年上だ。

だからこそ、リアルで会ったら自然と敬語になっていた。


でも、チャットでは敬語なんてほとんど使わない。

急にそんな話し方をしたら、確かに違和感があるかも……。



「えっと……なるべく、頑張ります……る」

「うん、今の“る”はかなり変だけどね」

「うぅ……ごめん……」



俯きながら小さく言葉を放つ。

そんな私に、ユージはクスクスと笑っているようだった。



「サクラは本当に人見知りだね。 まぁ、俺も人のこと言えないけど」

「……ユージは、全然人見知りな感じがしない…よ……?」

「んー……こう見えて今、結構頑張って喋ってるからね」


「……そうなの?」

「うん」



チラリ、とユージを見る。

私と目が合ったユージは、小さく笑ったあとに遠くへと視線を移した。



「一応、サクラより年上だしね。 頑張って先輩らしいとこ見せなきゃなーって思ってるよ」


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