チャット恋愛注意報!!(新)
……先輩らしいところ。
私にそれを見せるために、ユージは頑張って話してくれてるんだ……。
「……普段は、全然話せない……?」
「うん、人と話すの怖いし、目ぇ合わせるのもイヤだよ。 どうしても必要なことだったらギリギリ頑張るけど、わざわざ自分から話しかけることはないなぁ」
「……私も、同じ……」
「チャットの中なら、いくらでも言葉が出てくるんだけどね」
「うん」
チャットの中なら、いつだって笑って話が出来る。
色々なネタがポンポン浮かんできて、素直にそれを言うことが出来るんだよね。
リアルでは何も言えないけど、チャットは違う。
チャットでは、『自分はここに居るよ』って、ちゃんと言うことが出来るんだ。
「……私たち、似てるね」
「うん、似すぎてて気持ち悪い」
「ちょっ、気持ち悪いって酷くない? 私は親近感が沸いて嬉しいのに……」
「あはは、ごめん」
楽しそうに笑うユージが、私の頭をポンと優しく叩いた。
「何か飲み物買ってくるよ。 暑いし、喉渇いたっしょ?」
「あ、私も一緒に行くっ」
「サクラはここに居て? ベンチ座ってる、ってフジヤマに言っちゃったからさ」
「じゃあ、お金っ……」
「いいよ、大丈夫」
立ち上がったユージはひらひらと手を振ったあと、駅の方へと歩いていった。