チャット恋愛注意報!!(新)
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その後、私たちは近くの公園へと移動した。
暑さが厳しい真昼の時間帯だから、人はほとんど居ない。
「で? なんでお前、ネカマしてたこと言わなかったんだよ?」
ドカッとベンチに座ったフジヤマが、正面に立つYUKIを真っ直ぐに見る。
ちなみに、フジヤマ以外はみんな立ったままだ。
「俺もさ、ネカマなんてしょっちゅうやってるよ? 『私フジコ、よろしくねっ』とか言うよ? だけどさすがに会う日まで黙ってるのは無しだろー」
じっとりとした視線を送っているフジヤマに、YUKIはなんでもないような顔で微笑む。
そして、ついさっき買ったばかりの缶コーヒーのフタを開けて優雅に飲み始めた。
「おいコラっ、俺の話を聞けっ」
「聞いてるよ」
「こんにゃろっ。 俺はな、リアルでお前に会うのを楽しみにしてたんだぞっ!!」
「フジヤマは俺に惚れてたもんね」
「お前にじゃねーしっ。 俺はYUKIに惚れてたんだよっ」
……あ、やっぱりフジヤマはYUKIに惚れてたんだ。
目の前に居る男の人にじゃなくて『女子大生のYUKI』に、だ。
チャットでは いつもなんだかんだと言い合いをしてたけど、でも仲がいいからこそ、そういうのが言えるんだもんね。
それに毎日遅くまで二人で話してるって聞いてたし。
女子大生のYUKIに会うつもりで来たフジヤマの心情を思うと、なんか可哀想になってきた……。