チャット恋愛注意報!!(新)


「あーあ、毎日遅くまでお前とチャットしてた俺の時間を返してほしいわー」

「それはさ、気付かなかったフジヤマが悪いんじゃない?」

「んなこと言ってもよー、サクラもユージも気付いてなかっただろ? なぁ? どっからどう見ても女の子のYUKIちゃんだったよなー?」



フジヤマの言葉に私はうんうんと頷き、ユージもまた何度か頷いて応えていた。

それに対し、YUKIはまた笑顔。


口では『ごめん』って言ってたけど、笑顔のYUKIは、正直『してやったり』な顔だ。

そんなYUKIを見てフジヤマは小さくため息をつく。

だけど、その次にはもう諦めたかのように笑っていた。



「まぁいいさっ、イヤなことはさっさと忘れて今日は楽しもうぜっ。 とりあえずメシ食うかっ。 もちろん割り勘なっ!!」

「最年長なのにフジヤマはケチ臭いね」

「うるせーなぁ、ネカマ野郎に奢ってやるほど俺は寛大じゃねぇっつーの。 あっ、サクラの分は俺が奢っちゃるっ」


「未成年に奢るとか、フジヤマが言うとすっごく犯罪臭いね」

「黙れクソメガネめっ」



そんな風に言い合いをしながらも、二人はとっても楽しそう。

……なんだかんだで、やっぱり二人は仲がいい。

YUKIの性別はチャットとは違うから、当然言葉遣いも違うけど……でもなんか、確かにYUKIっぽい感じは残ってる。


まぁ、リアルのYUKIはフジヤマにかなり手厳しいけどね。


フジヤマとYUKIの会話はテンポよく進んでいき、私とユージはすっかり蚊帳の外。

止まることのないフジヤマとYUKIの会話を聞きながら、ユージはなすすべもなく苦笑いを浮かべていた。


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