チャット恋愛注意報!!(新)
「これ、フジヤマに貸すよ」
「お?」
「俺の服。 多分入るでしょ」
「おぉー、YUKIちゃんってば、なんで着替え持ってんの?」
「ちゃん付けウザい。 俺、どんな時でも常に2、3着持ち歩いてるんだ」
そう言ったYUKIがフジヤマに渡したのは、黒のロンTだ。
カバンの中にある別の服も黒っぽい服で、今YUKIが着てるのも黒を基調としたシャツ。
YUKIは、黒い服が好きみたい。
「……いやいや、黒とか暑くね? しかもロンTとか馬鹿じゃね? 今って夏だよ? 真夏だよ?」
「どんな服でも今のフジヤマの格好よりマシだから」
「ちぇっ、この服 俺のお気に入りなのに」
「わかったから、さっさと着替えてきて」
「へいへーい」
面倒臭そうにひらひらと手を振りながら、フジヤマはトイレへと向かった。
「……フジヤマって、ほんっとフジヤマだよねぇ……」
思わずそう言ってしまった私に、ユージとYUKIはそれぞれに笑う。
……私たちは今日、リアルで初めて会った。
だけど、みんな一緒に笑ってる。
チャットの中と同じように、みんながみんないつもと同じように笑顔になっていた。