チャット恋愛注意報!!(新)
「フジヤマ。 1枚だけ写真撮らせて」
「お? なんだ、ネットにばら蒔くのか?」
「うん、そんなとこ」
「おいおい、そんなの俺が許すわけ……」
「はい、チーズ」
パシャッ
……と、フジヤマが喋ってる途中でシャッターが切られた。
で、フジヤマはなんだかんだ言いながらしっかり笑顔でVサインを出してるというね。
「……ねぇだろうがっ」
「遅いから。 じゃあ俺、帰るね」
「おい、YUKIっ」
「大丈夫だよ、ばら蒔いたりしないから」
クスッと笑ったYUKIは、手を振ってから歩き出した。
「あっ……YUKI、またねっ」
と声をかけたけど、YUKIは振り返ることなく後ろ手に手を振るだけで、そのまま人混みの中へと消えていった。
……YUKI、またね。
必ずまた会おうね。
チャットだけじゃなくて、リアルでもきっと……。
「ったく、あんにゃろめ。 ……つーかなんで俺の写真?」
……あ、確かにそうだ。
みんなで写真を撮るならわかるけど、なんでフジヤマ“だけ”の写真を撮ったんだろ?
……ていうか写真で思い出したけど、みんなで一緒に写真撮るの忘れちゃった。
会った時にYUKIが撮った私たち3人の写真はあるけど、YUKIが写ってる写真はない……。
『次』に会ったら、必ず撮ろうっ。
と、そんなことを思いながら静かに息を吐き出した。