偽りのヒーロー
ふんふんと鼻息荒く熱弁を奮うその眼差しは、キラキラと輝いている。
あんなにも小さな声で、と注意したくせに、レオの身振り手振りが大きくて、時折他の生徒の視線を感じる。
隠しきれていないその恋心は、今にも本人に伝わりそうな気がするのだけれど。
「内緒だからなっ。言うときは自分で言うって決めてっから!」
「あ、そ……」
にかっと笑うレオにため息で返した。
よくお昼に誘われるのは、菖蒲と一緒に過ごしたいからか。
意向思わしくなく、菖蒲にふられてばかりで、結局菜子とレオが2人でご飯を食べることもしばしばだが。
口実って、虚しい。叶わなければ、望んでいない人物と2人きりにさせられるのだから。
「力になれなくてごめんよ」
心の籠っていない謝罪に小突かれる菜子。
ピーと笛の快音が、コートに促す合図をすると、それと同時のレオの目が輝いた。
「だからさ、菖蒲ちゃんのバイト先連れてって!」