偽りのヒーロー
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action.12
桜が咲くころ、菜子たちは2年生になった。
友人たちと共に無事進級したのは良かったのだが、紫璃だけが違うクラスになってしまった。
その穴を埋めるように、未蔓が同じクラスになったけれど、どこか虚無感を覚えるのは、やはり紫璃が傍にいないからだろうか。
「あんま代わり映えしないよな〜」
菜子の顔を見ながら、レオが呟いた。
それはそうだ。進級時の席順は、どこのクラスも出席番号順。一年前と同じような席どりは著しい変化を感じられなくても仕方がない。
けれど、回りを見渡せば、一年生のときにはいなかったクラスメイト。菜子には、ひしひしと変化を感じられた。
「……紫璃と離れて寂しい?」
にやにやと何か企むような目つきが厭らしい。
「できることなら、レオと紫璃を交換してって先生に頼んでくるけどね」
素っ気ない言葉でそっぽを向くと、「それはひどい!」と相変わらず大きな声が響いていた。
2年生になってからの一大イベントはやはり修学旅行だろうか。その他にも、数えられないほどの行事が待ち受けている。
クラスを基本にした団体行動は、自然と二人の距離を拒むようで、どこか菜子には気掛かりだ。文句を言っても、今さらどうにもならないけれど、少しだけ、その運命を憎んでいた。
相も変わらず、テスト前には「ノート貸して」というレオがちっとも変っていなくて、ため息をついた。
前の席に座る菖蒲を見ると、同じようにため息をはいていて思わず笑みが零れる。