偽りのヒーロー
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action.21
2学期の期末テスト。
おおよそ準備万端とは言えなかったものの、レオにとっては今までとない勉強時間を有して臨んだ。
苦手な国語は、菜子に言われた古典に山をはったところが見事に出て、レオは自分でも目を疑うほどの点数を手にしてわなわなと震えていた。
古典を担当する源田先生にも、どうしたんだと心配される始末。
それでも67点なんて、「それでいいとかやばいと思った方がいい」と菜子は笑っていた。
「菜子は古典何点?」
教えたくない、とテスト用紙を見せてくれることはなかったが、期末が終わって張り出された成績の掲示を見てみれば、菜子は4位という順位を保ったままだった。
本当に名前が載っている。当たり前のそのことに、菜子の努力を垣間見た気がした。
「すげえ。ほんとに4位なんだ」
「何? 嘘だと思ってたの?」
けたけた笑う菜子は、ばしばしと小さな手でレオの背中を叩いていた。
聞けば、10位まではほぼ毎回不動の順位なのだというのだから、こいつらは化け物だな、と同級生に尊敬の眼差しを向けた。