恋しちゃえよ。いい加減。
『都に触るなって言っただろ?』


突然現れた椿に抱えられて、私はショーンさんから離される。



『そんなに怒らないで、椿。クリームを取ってあげただけだよ?』


ショーンさんはクスクスと笑っているけれど、椿は眉間に深いシワを寄せて、大変ご立腹だ。





「消毒。」




そう言って椿は、おしぼりでゴシゴシと私の口許を擦る。

「いたっ!痛いよ。椿。」


「椿。レディにそれは、ダメだよ。」



「うるせー。簡単に触らせるなよっ。」



「だって!突然だったんだもん!って、もう!!」


そう言って私は椿を突き放す。


椿は、ブスーっと不機嫌な顔をして隣に座った。


『………椿、そこまで嫉妬するなんて。君らしくないね。本当に都は特別なんだね。』



ショーンさんは少し呆れた顔をして椿に言った。



『………他の女とは違うんだよ。都は。都だけはダメだ。』



ショーンさんは小さくため息をついて、立ち上がった。


「それじゃあ、ミス進藤。僕はこれで失礼するよ。いいパーティーになるといいね。じゃあ。」



伝票を持ち、ショーンさんは帰ってしまった。



そして残されたのは、私と椿。





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