恋しちゃえよ。いい加減。
私は慌てて引き出物の中に入れた席次表を探す。


突然の動きに桜田は驚いている。


席次表を開くと新郎側の友人の名前を一人づつ確認する。


違いますように。


違いますように。違いますように。



心の中で何度も繰り返す。


神さまっ!!お願いします!


どうか、別人でありますように!!



………。


どうやら神さまは私が嫌いみたいだ。


席次表にはしっかりとその男のフルネームが書かれていた。



『藤嶋 椿』



さいっっっっあく!!



嘘でしょ。ヤバイヤバい!!



「ちょ、先輩?大丈夫ですか?」


とにかく、早く逃げなきゃ!


「ごめん!桜田っ!!私ほんと帰るっ!!ごめん!」



そう言って引き出物を持ち、出口へと向かおうとした矢先。
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