恋しちゃえよ。いい加減。
「都なんにする?これとかこれとか旨いよ?」


「んー。初めてだし、椿に任せるよ。椿とは食べ物の好み同じだし。」


椿は一瞬キョトンとして、そのあと少年みたいに、ニカッと笑った。


「そうだったな。都とは好きな食べ物いっしょだった。」



タッチパネルで注文をすますと、椿は本心をつくように、真剣な顔になる。




「都とは、食べ物だけじゃなくて、好きなお笑いも、番組も、スポーツも、なんでもいっしょだった。」



確かに、椿とは好みが似てた。
でもその時は私、椿のこと好きだったから、椿が好きなものを好きになりたかったんだよね。



なにも言わず、運ばれてきたドリンクに口をつける。



「…………だから俺は勝手に、お互いの気持ちも同じだと思ってた。」






ごくり。




と音をたてて、飲み物がからだに入っていく感覚がわかる。






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