恋しちゃえよ。いい加減。
「っつ!つば、つば、つば…………!」


「なんだよ。つば、つば、うるせぇなぁ。」



「椿っ!!会いたかった!会いたかったよっ!」


椿に向かって抱きつく。
ぎゅぅっと、力を込めて椿に抱きつく。


本物の、椿だ。



椿の腕が私をぎゅっと抱きしめる。
椿の腕のなかは、こんなにも安心するんだ。こんな人、初めてだ。

私はやっぱり椿がいい。



「………なんで。なんで。イヤホン返すのよ。」


私よりも背の高い椿のネクタイをぐいっと私の方に引っ張る。


「最後の切り札って言っただろ?」



「そうよっ!なのに返すなんて…………えっ。待って。まさか。」



ふっ。とまた、いつかの上から目線の笑みをする椿。


「まさか、私が追いかけてくること、わかってたの!?」



「さぁ?どうでしょう。」


あーもー!!やられたっ!!



「………日本に帰る。」



「まぁまぁ。で?いい加減、返事もらえるわけ??」


その顔ズルい。


口では、私が会いに来るのが当然のように言ってるけど、その表情は、口とは反対。すごく嬉しそう。


その顔を見ると、私はまた、ぎゅぅっと、椿に抱きついてしまう。










< 68 / 71 >

この作品をシェア

pagetop