お月見泥棒
 それでも。

 何となく躊躇っているうちに、伸太と喜助は中に入ってしまった。
 扉の横にいた女児が、ちら、と融を見、そのまま中に入る。

 融は階に片足をかけたまま、じっと扉を見た。

 一人になったとはいえ、扉はすぐそこだ。
 小さい祠なので、中にいる三人からも、そう離れたわけでもない。

 なのに、この不安は何だろう。

 さわさわと風が吹く。
 しばらく経ってから、は、と融は、ずっと感じていた違和感が何なのか気付いた。



 静か過ぎるのだ。
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