オーロラの歌



スペクトル・プリズムという魔法は、光で自分や相手の虚像を創り出し、霧で本物の姿や気配をできるだけ薄め、翻弄させるもの。


魔法が成功する確率は、今の俺の力では五分五分だったが、挑戦してみて正解だったぜ。



……そう、つまり。


今、図書室の先生が捕まえようとした俺は、偽物。


本物の俺は、もうカウンターの奥の部屋に入っていた。



校長先生、どこだ?


奥の部屋は真っ暗で、何も見えない。


俺は人差し指に光を集め、それをライト代わりに部屋を見渡す。


この部屋にも図書室と同じように、ずらりと本棚が並んであった。


本棚にある本は、どれも分厚く、難しそうなものばかり。



ふと、部屋の奥の方に、真っ赤な炎が見えた。


あっちに、校長先生はいるみてぇだな。


炎のある方向へと、足を進める。



『あ、いた』




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