オーロラの歌



あ、でも、………そうだ。


ここが生徒が立ち入り禁止の部屋なら、ここにある本はどれも生徒は読んではいけないものってことだよな?



『校長先生、その本何ですか?』



だったら、その本を奪ってクラスの皆で見れば、イタズラになるんじゃねぇか?



『これは、お前が読んでいいものじゃない』


『そう言わずに、ちょっとくらいいいでしょ?』



俺は口角を上げながら、人差し指の先に灯していた小さな光を、天井に向かって放つ。


放たれた光は、一時的ではあるが、部屋全体を眩く照らした。


突然の光に、校長先生は反射的に目を閉じる。


俺はその一瞬を狙って、校長先生が持っていた本を奪い取った。



『ラジ、返せ!!』


『嫌だね』



光に慣れてきて目を開けた校長先生に、俺はベーッと舌を出して反抗的態度を取る。



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