オーロラの歌



周りを火で囲まれ、逃げ場もない。


校長先生は、音の魔法を使って警報のような音を鳴らし、学校中に火事を知らせた。



『み、水の魔法でなんとかできねぇの?』


『この炎の量を、二人の力だけで消すのは不可能だ』



校長先生の得意な魔法は、確か、音の魔法。


水の魔法が得意だったら、もしかしたらなんとかなったかもしれねぇのに。



『大丈夫だ、ラジ』



不安がっていた俺を、安心させるようにそう言った校長先生は続けて、離れたところにいる相手と会話ができる魔法、テレパスを使う。


テレパスの相手は、俺の両親だった。



『すぐ、助けが来る。それまで、耐えるんだ』



校長先生はテレパスし終えると、俺の頭を撫でながら言った。


校長先生の優しさにすがるように、俺は頷く。



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