オーロラの歌
喉は苦しいけど、まだ声は出せる。
わざと、そうさせているの?
「こいつ……!」
沸騰しそうな怒りを顔に表すシエルは、魔法を使って対抗しようとしていた。
待って、シエル。
どうしてもラジが心の底から私を殺したいと思っているようには見えない。
ラジを、悪人だとは思えない。
だって、私の喉をつかむラジの手は、かすかに震えている。
私はゆっくりと目を閉じた。
それに気づいたシエルは、魔法を使うのを中断した。
「オーロラ?」
シエルの声が、耳の奥を通り抜けていく。
私はシエルに何も返さずに、小さく深呼吸をした。
ラジの光に、色を添えられますように。
心の奥深くまで、届きますように。
この、愛おしい歌が。