オーロラの歌
息苦しくなってきて、クラクラと目眩がする。
周囲を埋め尽くす熱が、俺に死を感じさせる。
炎に焼かれた本棚の一部分が、俺と校長先生の方に崩れ落ちてきた。
校長先生は、頭を抱えてうずくまった俺をかばうように、覆いかぶさった。
校長先生の背中に、炎を纏った本棚の一部分が当たる。
『校長先生っ!』
『……いいか、ラジ』
熱くて痛いはずなのに、校長先生は笑顔を作って、俺に言う。
『――その本を、死んでも守れ』
まるで、自分では守れないと、自分の命はここまでだからと、言っているようだった。
なんで、どうして、と聞きたい気持ちはあった。
だけど、校長先生の瞳が真っ直ぐすぎて、俺は『わかった』としか言えなかった。
いつも、怒られてばっかだったから、今回もてっきり叱られると思った。
でも、校長先生は叱らずに、俺に優しくしてくれて、俺のことを守ってくれた。
だから、俺は校長先生の指示通り、この本を守り抜く。