オーロラの歌
校長先生に背中を押され、俺と校長先生との距離が開いた。
刹那、今度は本が、校長先生の上に降ってきた。
校長先生は逃げようとするが、先程の背中のダメージで思うように体を動かせず、炎に燃やされた本が校長先生にぶつかる。
校長先生の体が、炎に包まれていく。
俺は、校長先生を助けようと一歩踏み出した。
けれど。
『来るな、ラジ!』
校長先生の苦しそうな声で、俺は足を止める。
その直後、この部屋の扉が蹴り破られる音が響いた。
この部屋に入ってきたのは、母さんと父さんだった。
『ラジ、校長先生!』
『大丈夫ですか!?』
母さんと父さんは、校長先生の火に焼かれていく姿を見て、驚きで何も言えなくなる。
校長先生の命が、燃やされていく。
俺に向けた校長先生の瞳は、とても凛としていた。