オーロラの歌



校長先生に背中を押され、俺と校長先生との距離が開いた。


刹那、今度は本が、校長先生の上に降ってきた。


校長先生は逃げようとするが、先程の背中のダメージで思うように体を動かせず、炎に燃やされた本が校長先生にぶつかる。


校長先生の体が、炎に包まれていく。


俺は、校長先生を助けようと一歩踏み出した。


けれど。



『来るな、ラジ!』



校長先生の苦しそうな声で、俺は足を止める。


その直後、この部屋の扉が蹴り破られる音が響いた。


この部屋に入ってきたのは、母さんと父さんだった。



『ラジ、校長先生!』


『大丈夫ですか!?』



母さんと父さんは、校長先生の火に焼かれていく姿を見て、驚きで何も言えなくなる。


校長先生の命が、燃やされていく。


俺に向けた校長先生の瞳は、とても凛としていた。



< 111 / 888 >

この作品をシェア

pagetop