オーロラの歌
母さんと父さんは、この状況を動揺しつつも理解して。
俺の手を引いて、火をかき分けながら、ここから去ろうとした。
校長先生を、残して。
ごめん、校長先生。
守ってくれて、ありがとう。
校長先生一人だけだったら、校長先生が俺を守らなかったら、校長先生が炎に燃やされることはなかったかもしれない。
……本当に、ごめんなさい。
カウンターの奥の部屋を出て、図書室に行くと、火は図書室にまで広がっていた。
図書室にいた人達は、無事に逃げられたようで、図書室には誰もいなかった。
母さんと父さんの得意な魔法も、水の魔法ではない。
人数が三人になったところで、この火を消せるわけではない。
もう、助けに来る人はいない。
おそらく、他の先生達は生徒を安全な場所に誘導しているだろうから。
俺が、俺達が、なんとかしなければ。
この本を、なんとしてでも死守しなければ。