オーロラの歌



ふと、母さんが俺の持っていた本に気づいた。



『それ、禁断の魔法書じゃない。どうしてあんたがそれを……。いや、今はそれどころじゃないか』


『なに?』


『ラジ、ちょっとその本貸して』



俺は言われた通り、母さんに本を差し出す。


母さんはその本の目次を見て、水の魔法に関するページを開いた。


母さん、何をするつもりだ……?



『……なるほどね』



そう呟いた母さんは、開いていたページを父さんに見せてから、俺に本を返した。


父さんは、俺と同じ目線になるように屈んだ。



『ラジ、よく聞いてくれ』



母さんと父さんの体は、ところどころ火傷していた。


きっと、校長先生と同じように俺を守ってくれたからだろう。



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