オーロラの歌




『お前だけをテレポーテーションさせる』


『え?母さんと父さんは?』


『今の体力じゃあ、お前一人を飛ばすだけで限界だ』



テレポーテーションを使えるのは、空間の魔法が得意な父さんだけ。


しかも、体力があまり残っていないということは、母さんと父さんは図書室に着いてから、奥の部屋にたどり着くまでの道を確保するために地道に火を消したということだ。



『母さんと父さんは、どうするんだよ』


『僕達は、この火が学校中に広まらないように、魔法で消す』



そんな魔法、どこにあるんだよ。


そう言おうとして、やめた。


わかってしまったから。


この本に、書いてあるんだと。



『でも、それができるなら、わざわざ俺だけテレポーテーションさせなくたっていいじゃん!』



体力が無駄に消費されるだけじゃねぇか。


だったら、俺もここに残って、少しでも二人の力になりたい。



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