オーロラの歌



俺だけ逃げ切れたって、嬉しくない。


校長先生も母さんも父さんも犠牲にしてまで、安全な場所に避難したくねぇよ!



『ねぇ、ラジ。私達が使う魔法はね、禁断の魔法なの。本当は使ってはいけない魔法なの』



意味わかる?、と聞いてきた母さんに、俺は首を横に振る。



『魔法を使う者が死んでしまう可能性の高い魔法ってこと。禁断の魔法にもよるけどね』



……なんだよ、それ。


それって、その魔法を使えば、母さんと父さんが死ぬってことか?


そんなの、嫌だ。




『私達が使おうとしてるのは、その場にある全ての炎を消し去る、“インフィニティ・フォール”という、二人で力を合わせてやる水の魔法』


『全ての炎というのはつまり、目の前に広がる炎も、命の炎も、ってことだよ』




インフィニティ・フォール――その呪文の意味は、無限大の滅び。



体力があまり残っていない状態での魔法の使用すら、危ねぇのに。


どうして二人とも、笑ってるんだよ。



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