オーロラの歌



俺は泣きそうになって、唇を噛み締める。


そんな俺の肩を、ポンと軽く叩いた父さん。



『僕達は、ラジに生きていてほしいから、先にラジを移動させるんだ』



この場に残っていたら、俺の命の炎まで消されてしまう。


だから、俺を助けた後で、魔法を使うっていうのか?


……それでも、嫌だよ。


死んでほしくない。



『男でしょ?しゃきっとしなさいよ』



母さんが、バシッと俺の背中を叩く。



『その本、校長先生に頼まれたんでしょ?』


『なんで知って……?』


『なんとなく。女の勘ってやつよ』



母さんと父さんは、死への恐れなんて一切感じないくらい堂々としていた。



『ちゃんとその本、守りなさいよ?』




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