オーロラの歌



俺達を嘲笑う空気は、オーロラが唇を動かし、「でも」と続けたことで一変する。



「やっぱり、ラジが犯人ではありませんでした」



オーロラはそう言いながら、俺に視線を送ってきた。


俺はその視線の意味を察して、持っていたある物をオーロラに渡す。



『だから、これは最終手段ってこと。時間が許す限り、真犯人とお金を探そう!』



真犯人と金が見つからなかった今、最終手段を決行するしかない。


だけど、この最終手段は、俺は助かるかもしれないが、条件を達成できなかった時点でオーロラの命は助からない。


だから、何としてでも、真犯人と金を見つけたかったのに……!




「その証拠は、これです」


「なんじゃ、それは」


「これは、この街にある山に生えている、万能薬の花です」



町長の疑問に答えながらオーロラは、街の皆にも見えるように、花弁を一枚失った真っ白な花を持った手を高く上げた。



「一億テラスが盗まれた日の三日前から、俺は山に登って、その花を探して摘み取ってきたんだ」




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