オーロラの歌
歌を歌い終えて、静かに瞼を上げると。
目の前にいるラジは、瞳を潤ませていて、ひと粒の涙を流していた。
「あれ?どうして泣いて……っ」
あぁ、なんて綺麗な涙なんだろう。
……ラジ、あなたは。
「あなたは、優しい人」
「え……?」
私の呟きに、ラジの目が見開かれる。
ラジの、私の首を絞める手が、ピクリと動いた。
苦しかったんだね。
悲しかったんだね。
今もなお、心を痛めているんだね。
「私を殺そうとしているのに、辛そうな表情をしてる。それに、名前を尋ねたらちゃんと教えてくれた。……そんな、優しい人」