オーロラの歌
落ち込んでいる場合じゃない。
この状況をなんとかしなきゃ。
魔法をかけられた人達を取り巻く、灰色の霧のようなもの。
おそらく、あれは……。
「オーロラ、あの霧みてぇなやつって、悪のエネルギーが集まってできたものだと思うか?」
「うん、私も今そう思った。だから、私の歌で……」
「いや、ここは俺に任せろ」
いやしの歌で、悪のエネルギーを取り除こうと思っていたけど。
ラジに真剣な瞳でそう言われたら、任せないわけにはいかない。
大きく頷いた私に、ラジは目を細める。
ラジは、グリンに私を頼むと、右手の人差し指でを空高く突き上げた。
「“ヘウ゛ン・プルガシオン”!!」
ラジが呪文を唱えた次の瞬間、人差し指の先に集められた白い光が、この場を覆っていった。