オーロラの歌



邪気や霊気、幻覚や空想までをも打ち消す、光の魔法。


その魔法は、町長や街の住人達の洗脳を解き、本来の姿に戻した。


元々、町長や街の住人達にかけられた魔法での洗脳は、とても浅いものだったらしい。



「役立たずだったラジが、やっと役に立ったねぇ」


「ひがみか?」


「はあ?そんなわけないでしょー?」


「……よかった」



ラジとグリンの口喧嘩を放っておいて、皆の洗脳が解けたことにホッと肩を下ろした私は、いつの間にか遠く離れた場所にいるゼロさんと、視線がぶつかった。


視線は、すぐにそらされてしまった。



「あ、待って!」



去っていくゼロさんを、無意識に追いかけていた。


追いかけなければいけないと、なぜか思ったんだ。



「オーロラ~?」


「どこに行くんだよ」



いきなり走り出した私の耳に、ラジとグリンの声が届く。


けれど、私は足を止めることも、振り返ることもせずに、ゼロさんの背中を追いかけ続けた。



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