オーロラの歌
途中(グリンのわがままで)休憩を挟んだものの、随分と遠くまで歩いてきた。
気がつけば、もう夜だ。
青から、暗く幻想的な藍色に変わった空の下で、私達は野宿することにした。
ラジが作ってくれた夕飯を食べて、焚き火を囲んで他愛のない話をして、草原をベット代わりに夜空の天井を眺めながら、一枚の毛布をかけて眠る。
唯一の灯りであった火を消せば、辺りは真っ暗。
それでも、視界には星と月の柔らかな輝きが映っていて、心細さも憂いも感じることなく、夢の世界に誘われるように瞼を閉じた。
『オーロラ』
耳を、疑った。
だって、その声は、もう二度と聞けないと思っていた声だから。
『オーロラ』
もう一度、名前を呼ばれた。
溢れる涙をこらえながら、声のする方へ振り向いた。