オーロラの歌



そこにいたのは、私を呼んだのは。




『お母さん……!』




間違いなく、亡くなったはずのお母さんだった。


深藍色の髪を後ろで一つに結っているお母さんの姿が、懐かしくて。


私は走って、お母さんに抱きつく。


どうして、こんなところにいるの?


なんて、聞くことすら忘れてしまうほど、お母さんに会えた嬉しさと感動が、心を埋め尽くしていた。



『あのね、私ね』



ずっと、会いたかった。たくさん話したいことがあるんだ。


私は顔を上げて、そう言いかけて、やめた。



『……お、かあさん?』



どうして、泣いているの?


ポタリ、と私の頬に、お母さんの透明な涙がこぼれる。



< 161 / 888 >

この作品をシェア

pagetop