オーロラの歌



力強く掴まれたせいで、否応無しに引き止められる。



「は、離して!」



抵抗しても、警備隊の人が私から手を放してはくれず、掴む力がさらに強くなる。


痛い……っ。



「捕まえたぞ、オーロラめ」



警備隊の顔が、険しくなる。


彼らに殺意も憎しみもなければ、感情そのものすら感じない。


ただ、女王様への貢献と、警備隊としての義務感、そして国を悪から守る責任が、あるだけ。



恐ろしくなって、ゾッとする。


一度私を殺そうとした、ラジやグリンやエストレア・シティの人達とは違う、正義を掲げて殺しに来る警備隊。



「観念しろ」



警備隊の一人が私の首を掻っ切ろうと、持っていた鉄剣を振り上げる。


嫌だ、嫌だ、嫌だ!


怖い!


こんなところで、こんな人達に、殺されたくない。


死にたくない!!



< 175 / 888 >

この作品をシェア

pagetop