オーロラの歌
昔々、ふたりの少女がおりました
階段を下りて、砂漠に似た、整備されていない大地を進んでいく。
アストラル・グラウンドから見下ろしたら、案外近いと思ったけど、実際歩いていみるとそうでもなかった。
あと数時間は歩くことになりそうだ。
階段の下で、ラジとグリンが合流場所の階段に行く前に買っていてくれたパンを食べたので、体力は復活した。
何時間でも歩けるくらいだ。
冷たい風が吹いて、砂埃が立つ。
視界が悪くなり、歩きづらい。
「コホッコホッ」
「オーロラ、大丈夫か?」
咳をした私の背中をさすってくれたのは、シエル。
大丈夫だよ、と伝える代わりに笑顔を作る。
「ウメさんって、どんな人なんだろうねぇ」
グリンが、独り言のように呟いた。
私達は、ウメという人のことを、あまり知らない。
昔、魔法学校の教師をしていて、禁断の魔法書を書いた著者。
そんな情報しか、知らない。