オーロラの歌
ラジのおじいさんに、ウメという人の写真でも見せてもらえばよかったな。
ラジのおじいさんが、ウメという人の故郷はフロンティア・シティだと、言っていたから、やっぱりグリンと同じ獣族なのかな。
「そもそも、フロンティア・シティってどんな感じの町なんだよ」
「ん~、一言で言うと、汚い、かなあ」
ラジの質問に、グリンが目を伏せながら答える。
汚い……?
「フロンティア・シティは、エストレア・シティやアストラル・グラウンドとは、全然違うよ~。だから、あんまり期待しないでねぇ」
それは、私も感じていたことだった。
階段からフロンティア・シティを見下ろした時、ルシフェル王国ではなく、別の国を見ているかのような気分だった。
でも、グリンが自分の故郷を汚いと表現するなんて、意外だ。
無意識に凝視していたグリンと、目が合う。
なあに、と言いたげなグリンの瞳は、どこか冷めていて。
胸を、えぐる。
とてもとても深く、私の手の届かないところまで。