オーロラの歌



でも、そうじゃなかった。


ちゃんと覚えていてくれた。



『……うん。お父様、お母様、ありがとう』


『私もイービル姉様にプレゼントあげるのー!』


『アンジェラスも、ありがとう』



うっかり泣きそうになって、慌てて俯いた。


なんだか、胸の奥がくすぐったい。


今日はあたしが主役だと、言われてるみたいだ。



『イービルがもう五歳だなんて、時が経つのは早いわね』


『いずれ娘が女王の座に即く日も、遠い話ではないんだろうな』



二人は、あたしの憧れだった。


この国を統べる王であるお父様と、お父様を支える女王であるお母様。


二人とも、国の民に称えられ、崇められ。


王や女王であることに誇りを持っている。



あたしも、二人のようになりたい。



< 230 / 888 >

この作品をシェア

pagetop