オーロラの歌



今日は、天気が良かったはず。


なのに、あたしが拳を下ろしたら、なんの前触れもなく稲妻が走って、落雷した。



……これが、能力者の力。



まだ、胸がドキドキ鳴ってる。


すごいとしか、言いようがない。



『どうやらイービルは、私の能力のみを受け継いだようね』


『あぁ、そうだな』



お母様の含みを持たせた言い方に、胸の高鳴りが軋む音に変わる。


私の能力“のみ”、って言った?


どうして、そんな風に言うの?



まるで、雷を操る能力だけじゃ不満みたいに。



なに、なんなの。


違和感に似たものを、感じる。


さっきまで火の中に埋もれていたと勘違いするくらい熱かったのに、その熱が急激に冷めたような気分だ。



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