オーロラの歌



お父様とお母様の瞳が、あたしを射抜く。


息がしづらくなる緊張感が、復活してしまった。



『イービルをここに呼び止めたのは、お前の能力を知るため以外にもう一つ、話さなければいけないことがあるからだ』



お父様は一区切りつけてから、話を続ける。


たった少しの沈黙が、もったいぶっているようで、嫌いだった。



『この国の王になるための条件は、なんだと思う?』



お父様が唐突に投げかけた質問に、あたしは戸惑いを隠せない。


王の条件?


優しさ、賢さ、真面目さ、リーダーシップ、決断力、視野の広さ……。


きっと、そんなの人それぞれだ。


頭に思い浮かんだ、王の理想像。


あたしが、王に一番必要だと思うのは、



『王になる覚悟があること、だと思います』




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