オーロラの歌



王家の、伝承?


それが、王になるための条件と、なにか関係があるの?



『伝承って、何?』


『それはね』



お母様は、一度瞼を伏せてから、揺らぐことのない眼差しをゆっくりとあたしに向ける。




『“いやしの歌の能力を持つ者が王としてこの国を治めよ”というものよ』




それは、あたしの夢を、憧れを、完全に打ち砕くものだった。


いやしの歌を受け継がなければ、王にはなれないってこと?


それじゃあ、あたしはもう王の座には即けないの?



『だから、お前は王にはなれない』



お父様の言葉に、あたしは悔しさを募らせる。


たかが能力のひとつだけで、あたしの夢が否定されることになるなんて。


そんなのって、ない……!



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