オーロラの歌
――さらに数年の時が、早足で過ぎていった。
やはり、能力を奪ったり失くしたりできる高度な技は、現在の魔法技術と能力の研究において、開発も発見もされていないらしい。
あたしが長年かけて探していたものが、この世に存在しないと知った、次期女王の即位式前日の朝。
『ついに、明日ね』
『なんだか緊張してきちゃった』
『アンジェラスなら大丈夫よ』
『そうだ、もっと胸張って、堂々としていなさい』
アンジェラスとお母様とお父様の三人で話している姿を、遠くから軽蔑するように横目で見ながら、あたしは自室へ行く。
明日、お父様からアンジェラスへ、王の座を譲り渡す。
そして、あたしではなくアンジェラスが、女王になってしまう。
『……阻止しなくては』
アンジェラスが女王になる前に
あたしが、女王にならなくちゃいけないの。
それだけをずっと、思い描いていた。