オーロラの歌






――さらに数年の時が、早足で過ぎていった。



やはり、能力を奪ったり失くしたりできる高度な技は、現在の魔法技術と能力の研究において、開発も発見もされていないらしい。


あたしが長年かけて探していたものが、この世に存在しないと知った、次期女王の即位式前日の朝。



『ついに、明日ね』


『なんだか緊張してきちゃった』


『アンジェラスなら大丈夫よ』


『そうだ、もっと胸張って、堂々としていなさい』



アンジェラスとお母様とお父様の三人で話している姿を、遠くから軽蔑するように横目で見ながら、あたしは自室へ行く。


明日、お父様からアンジェラスへ、王の座を譲り渡す。


そして、あたしではなくアンジェラスが、女王になってしまう。



『……阻止しなくては』



アンジェラスが女王になる前に


あたしが、女王にならなくちゃいけないの。



それだけをずっと、思い描いていた。



< 279 / 888 >

この作品をシェア

pagetop