オーロラの歌



あたしは自分の部屋に入り、日差しを拒むようにカーテンを閉め、明かりも点けずに床に座り込む。



明日、アンジェラスは十六歳になって、あたしがどんなに手を伸ばしても届かなかった王冠を、アンジェラスは自分のものにする。


アンジェラスが女王に、アンジェラスの夫のジャックが王に、なる。



これ以上、悪夢の続きを見たくない。



タイムリミットが、二十四時間を切ってしまった。


図書室で何か方法を探す時間も、計画を企てる時間も、残っていない。


こうして悩んでいる間にも、アンジェラスは着々と明日の準備を進めている。



『女王になりたい』



あたしのプライドが許さないの。


アンジェラスの、妹の背中を後ろから眺め続ける人生なんて。



こんなに狂ってしまったのも、ひねくれてしまったのも。


愛の面影が、愛し方が、欠如しまったのも。


姉としての立場に、次期女王になりたい気持ちに、固執して離れられなくなってしまったのも。


孤独を味わうことになったのも、あたしの運命をかき乱したのも。



原因は全て――アンジェラス。



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