オーロラの歌



あぁ、あたしはバカね。


望みを叶えるためだけに、罪人になろうとしているなんて。


でも、それしか証明できないから。


アンジェラスより上に立つには、それしか……。



『迷う必要はないわ』



なのに、なんで。



『契約してやろうじゃない』



なんで、よ。



『……っ』



なんで、涙がこぼれるの?


突然、頬を伝って輪郭をなぞるように流れた、温かい涙。


何に対しての涙なのか、この涙にどんな感情が詰まっているのか、あたしには到底わからない。


たった一適だけの涙が、音も立てずに床に落ちる。


切なさが、じわじわとこみ上げてきた。



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