オーロラの歌



それは、あたしの最後の涙となった。



契約に必要なのは、生きた心臓と呪文。


あたしは、両膝を床について、両手を重ねる。


さよなら、愛しさに包まれたあたし。



『我が命を捧げ、運命共同体となり、悪の契約を交わそう』



あたしは、悪霊に心臓を。


悪霊は、あたしに服従を。


これは、あたしと悪霊が同盟を結ぶ契り。




『悪霊よ、我に永遠の闇と力を――ハルシオン!』




瞬間、あたしの周りを黒い何かが囲った。


なに……!?


得体の知れない、何か。


うようよと動いている何かは、まるで数え切れないほどの悪魔の使いのように見えた。



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